
人を良くするのが“食”
人を良くするのが“食”
“食”という漢字は、人と良を組み合わせたものだということが食育の機会で語られることがあります。食べることは生命維持の基本で、食べることによって成長をして、新陳代謝を行い、元気に過ごせるということでは、納得できそうに感じます。
今の食を取り巻く環境を考えると、農薬や食品添加物、栽培環境の汚染、食べすぎによる健康への悪影響や生活習慣病など、食が人に良いとは言いにくくなっているかもしれません。
漢字の専門家に聞くと、食べ物を盛った状態が良、人はフタを指すとのことで、料理をしたものが食となります。それを口に入れることから食という文字が使われるようになったということです。
人を良くするという意味は語源としてはないのかもしれませんが、食べて栄養素を取り入れて、体内でエネルギーを作り出して、これを活動のためにも頭を使って学ぶためにも使っていくということを考えると、まさに人を良くするためのものが食であり、食べ物であると言うことができます。
食べることはエネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を取り入れて、これを全身の細胞にあるミトコンドリアという小器官でエネルギーを作り出すための始まりの行為です。食べる量を増やせば、それだけ多くのエネルギーが作られるわけではなくて、食べすぎは生活習慣病につながります。肥満は成人人口のうち男性が約33%、女性が約22%となり、高血圧は約43%、糖尿病は患者と予備群を合わせると約20%にもなっています。
これだけ多いとエネルギー量の摂りすぎのせいだと考えられるところですが、日本人の摂取エネルギー量は国民健康・栄養調査(令和元年)によると男女平均で1903kcalとなっています。今から77年前の終戦直後(昭和21年)のエネルギー量は1903kcalと、ちょうど同じ量になっています。
食べる量が全体的に減る傾向にあるのに生活習慣病が増えているのは、食べているものの中身と食べ方に問題があることが考えられます。
コノヒトカンプロジェクトは缶詰によって食を提供する活動をきっかけとして、何を食べるべきか、どんな食べ方をすればよいのかを考える機会が増えることを願っています。食が、まさに人を良くするためのスタートとなれば、こんなに嬉しいことはありません。
食べ物にフタをした形が“食”だとしたら、これは缶詰の形でもあり、そのフタを開けて、楽しくおいしい食の機会がもっと広がることを願っています。